サイズは小さくても大きな効果
エンジンコンポーネントの中でも、バルブとその関連パーツには大きな負荷とトライボロジー(摩擦・摩耗)応力がかかります。最高で800度に達する赤熱したエキゾーストバルブはバルブシートに1秒間に70回以上も接触し、高温で腐食性の排気ガスに耐えなくてはならないだけでなく、バルブリフトのたびに強力なバルブスプリングによって大きな加速力と収縮力が発生します。
バルブシートインサートとバルブガイドとともに、バルブは極度の負荷と応力に耐える密閉システムを形成します。そのため、マーレのラインナップにはバルブだけでなく、バルブシートインサートとバルブガイドという力強いパートナーが揃っています。これらのコンポーネントを組み合わせてひとつのシステムとして開発することにより、摩耗特性の最適化とコンポーネントのコストの最小化を実現しています。
マーレは、世界各地の複数の生産拠点で内燃式エンジン用の高品位バルブを製造しています。製品ラインナップには、ステム径が5~12 mm、バルブ全長が80~210 mmの、さまざまな構造やタイプの乗用車 / 商用車向けのバルブが揃っています。豊富な技術的ノウハウ、高い生産性、高品位製品を誇るマーレは、バルブの世界的なトップメーカーの1つに数えられています。
大量生産時の品質基準を保証できるよう、マーレは最先端の製造工法を採用しています。たとえば、鍛造物の製造にはプラズマパウダー法、機械仕上げには高速研削法を使用するなどです。バルブが高負荷に耐えられるよう、マーレのバルブには必要に応じて強化シートが用いられ、焼入れ、クロムメッキや窒化などの各加工が施されます。また、あらゆる用途をカバーする各種材料が揃えられています。たとえば、非常に厳しい要求が課される特殊な用途向けとして、熱負荷を低減するためナトリウムを封入した中空バルブなどがあります。
バルブガイドは、バルブシートに対してバルブの心出しを行い、バルブシャフトにかかる横力を補償するもので、発生した熱をシリンダヘッドに向かって放散させるのに役立ちます。エンジンの構造に応じて、インテーク側とエキゾースト側には同じ、または異なるバルブガイドが使用されるほか、ねずみ鋳鉄から真鍮、各種合金の焼結材料まで、さまざまな材料が用いられます。
バルブシートインサートには、圧力損失に対して燃焼室をシールする機能があります。また、バルブシートインサートによって熱が放散されます。その他の重要な機能として、バルブが柔らかいシリンダヘッド材料に当たるのを防止することが挙げられます。バルブシートインサートは主にクロム鋼合金で作られていますが、最近では焼結材料の使用も増えています。
バルブ構造の決定は、最も難しい課題です。機械的 / 化学的負荷と熱負荷に耐え、最適に放熱できるよう、マーレのバルブは幅広い運転条件に対応した設計となっています。

材質
オーステナイト鋼
マルテンサイト鋼
タイプ
モノメタルバルブ
バイメタルバルブ
バルブシート
プラズマパウダー仕上げ
高周波焼入れ
バルブチップ高周波焼入れ
輪郭焼入れ
全焼入れ
先端面焼入れ
中空バルブ
ステムサイズ:> 6 mm
穴シーリング:
- レーザー溶接
- 摩擦溶接
ナトリウム封入
フィレット形状
旋削、研磨
鍛造

ヘッドトップ表面
機械加工
鍛造
球圧子押込みあり / なし
バルブチップ形状
溝×1~3
特殊構造
バルブ全長
80~210 mm
バルブヘッド径
18~65 mm
バルブステム径
5~12 mm
表面処理
塩浴窒化
硬質クロムメッキ
(コーティング厚さ:3~35 µm)